8日目(1)

( 107)


カラダット ネムルート山 ハラン遺跡

 

いよいよ大詰めの8日目、長い一日の始まりである。早朝のネムルート登山を初め日程がぎっしりの上、夜はイスタンブールまで移動しなければならない。

4時、添乗員さんのモーニングコールならぬモーニングノックで起こされる。電話がないためである。もっとも私は、動作がのろいため、30分前には起きてはいたが-----

ともあれ、寒い早朝の登山に備え、十分に着込んで部屋を出る。

 

ネムルート山

440分、ミニバス2台に分乗し、出発! まだまだ真っ暗ながたがたの山道を登って行く。

そして510分、ネムルート山国立公園の駐車場に到着する。そこには既に各国からの観光客が大勢来ていた。

これからは山頂までご来光を見に徒歩で登るので、まずはトイレを済ませた後、各自のペースで、思い思いに出発する。

道は左が山肌、右が崖となっており、石ころだらけで傾斜もかなりきつかったが、それよりも北風が山肌に容赦なく吹き付けるので、耳が猛烈に痛くなり、千切れるのではないかと思ったほどである。

なかにはロバで登った人もいたが、自分は何とか頑張り、20分ほどで山頂2206mの東のテラスに到着した。健脚者で15分、遅い人で30分といわれていたから、まぁいいほうか。

風は相変わらずきつく、寒さに震えながらも、祭壇跡の階段状のところに腰掛け、ひたすらご来光を待った。ある人が熱いお湯を一口ずつ差し入れてくれたが、まさに救いの神だった。

 

待つこと30分ほどで、620分、待望の太陽が顔を出す。610分頃と聞いていたが、遅れたのは東水平線上の雲の厚みのせいなのだろうか。

ともあれ、ご来光はどこで見ても神秘的で美しいもの、どうぞ、刻々と変化するその様子をスライドショーでご覧いただきたい。

(右の写真をクリックしていただければ、画面が拡大され、5秒間隔のスライドショーになります)

 

さて、感動的な日の出の鑑賞後、直ちに東テラスにある石像群の見学に移る。

そこには、祭壇跡らしきものを背に、神々や王の巨像の頭部が多数不規則に並んでいたが、ここは、BC1世紀にこの地方を支配していたコンマケネ王国のアンティオコス1世の墳墓跡とか。朝日に赤く照らし出される巨像の表情が何とも言えない不思議なムードを漂わせていた。

地震のため首が神像から転げ落ちたといわれるが、神々の首はまるで地面から生えたかのように前方を見据えている。これは世界7不思議に次ぐ世界8番目の不思議とトルコでは呼ばれているらしいが、8番目の不思議というのは、ここに限らず世界の至るところにある。7不思議に入らないところは、その国が勝手に8番目と呼ぶ習わし(?)なのであろうか。

なお、この墳墓は1881年に発見され、1987年に世界遺産に登録された由。

 

さて、ここでの見学はたったの10分弱。もっとゆっくり鑑賞したかつたのだが、何せ本日は日程が詰まっている上に、夕方のフライトの時間に間に合わせなければならず、せかされるように下山に向かう。みな不満そうだったが、もともと東トルコを無理なく周るためには10日間のツアーでは無理なのであろう。やはり15日間のほうを選ぶべきだったかと、一瞬頭をよぎったが、もはや後の祭りというもの。

下山は、既に明るくなっており、風も弱まっていたので、楽であった。周りの景色を見ながらゆっくり歩いても15分で集合場所の駐車場に到着できた。

 

皆が揃ったところで、6時54分、再びミニバスに乗車し、帰路に向かい、7時14分ホテルに帰着する。急いで着替えを済ませ、ツアーバスに乗車、次の目的地に向かう。

朝食には、ホットドッグとジュースの入ったボックス弁当が供されたが、ひと運動した後だけに、その美味かったこと!

 

途中、昨日も利用したアディアマンのガソリンスタンドで小休止をはさみ、926分、ユーフラテス川に架かるクルドババ橋にて写真ストップする。

ユーフラテス川は、トルコの北タウルス山脈が源で、ペルシアまで流れる歴史的にも有名な川、やはり看過するわけにはいかない。途中でチグリス川を包含しているためか、さすがに川幅が大きく、青く澄んだ川面と相まって、大河の貫禄十分である。

 

1020分、後に観光予定のウルファの町を通過して、更に南へと進む。段々と道が悪くなり、土埃が立ち込め、前方が真っ白になったこともあったが、1120分、ハラン遺跡に到着する。

 

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