ベルリン

 

12日目の夕方、ベルリンに着き、13日目、本ツアー最後の観光となりました。

ベルリンは、1989119日の“壁の崩壊”以来、まさに激動の渦中にあり、その悲願の統一に至るまでのドラマは、まだ記憶に新しいところです。

ベルリンは15世紀以降、ブランデンブルク選定侯国の首都として発展し、のち18世紀に入ってプロイセン国王、更に19世紀にはビスマルクによってドイツが統一され、ドイツ帝国の首都となり、1914年からの第一次世界大戦で敗れたものの、その後世界の文化都市として繁栄、音楽、絵画、演劇、建築などの分野で最先端を行っておりま説明: berlin1した。

しかし、1939年に始まる第二次世界大戦で、連合国軍の激しい攻撃を受けた市街はまさに廃墟となった挙句、戦後は米英仏ソの4占領地区に分割され、やがてそれは東西の2ブロックに再分割され、そして1961年、東西ベルリンの境界にかの名高き“壁”が東側により突如として築かれた結果、西ベルリンは東ドイツ領内にぽっかりと浮かぶ離れ小島となり、その形態が1990年まで続いたことは周知の通りだと思います。

本ツアーで訪ねた時は、東西統一後、既に8年経っていましたので、かなり融合は進んでいましたが、それでも、東側は大きな建物が少なく、店構えなども素朴であり、車窓からの眺めで何よりも目立ったのは街路樹の少ないことでした。それだけインフラにゆとりがなかったということでしょうか。

 

ブランデンブルク門

ベルリンの観光はまずブランデンブルク門から始まりました。

この門は、かつての東西ベルリンの境界にあり、統一の際、何度もテレビのニュースで登場したので、その姿はすっかりお馴染みのことと思います。

説明: berlin2もともとこの門は、ウンター・デン・リンデン通りの入口として、プロイセン王朝時代の1791年に完成し説明: berlin3たものです。

デザインはアテネのアクロポリス神殿を模したもので、門の上には古代ローマの4頭立て戦車に乗る勝利の女神像があります。

 

チェックポイント・チャーリー館

説明: berlin4かつて東ベルリンへ車で入る際に利用していたチャーリー検問所が隣にあったため、この名があります。ここには、東ベルリンから脱出に成功した人々の体験談や、その時の写真などがパネル表示してあります。友人の車の中に隠れて検問所を通過したり、トンネルを掘って大脱走を試みたり、今ではまるで映画を見ているようなシーンの描写があり、また、脱出の時に使われた気球や、人力飛行機、銃弾の跡が無数に残る車なども置かれていて、当時の生々しい光景が彷彿しました。

その他、ドキュメンタリーフィルムも絶えず上映されていて、“壁の歴史”がよくわかるようになっています。

 

ペルガモン博物館

古代ギリシア・ローマのコレクション、古代西アジア美術、東洋美術、イスラム美術の、主に4つの部門に分かれた、ベルリンが誇る博物館です。

中でも、BC180160のヘレニズム建築の最高傑作とされる古代ペルガモン(現トルコ領内)のゼウスの祭壇がそのまま運ばれ展示されているのには、びっくりしました。

ほかにも、BC2世紀のミレトゥスの市場。BC580年の古代バビロニアのイシュタール門などが、遺跡からそのまま掘り起こされて運ばれてきており、これらは貴重な人類の遺産であるとともに、壮大な略奪の記念碑を見る思いでした。

以下に主なものをご紹介します。

ゼウスの祭壇

説明: berlin6左写真は、発掘された大祭壇の西の側面にあたり、イオニア式列柱に囲まれた135m前後のほぼ真四角の祭壇の一部です。

祭壇のフリーズ(装飾帯)や台座はびっしりとヘレニズム期の見事なレリーフで飾られていて、そこにはギリシア神話の神々が、愛し、戦い、殺しあう壮大な叙事詩が展開しています。

以下、そのうちのいくつかをご紹介しましょう。

 

 

3組の神々が闘っています。戦闘で優位を占めているのは海の神々のようです。

 女神が勇敢にヘビの足を持つ巨人と闘っています。巨人はもうタジタジしていますね。

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ミレトゥスの市場

説明: berlin9ミレトゥスのローマ時代の市場が見事に復元されています。もともとBC165年頃のものだそうです。

共和制の時代のローマの市場の構造がよく見てとれます。

なお、この部屋には、ミレトゥスを初め、ナクソス、サモス、アッティカといった土地から発掘された初期ギリシア時代の彫像が展示されています。

 

モザイク

説明: berlin10左写真は、BC2世紀頃のローマのモザイクの床です。

「オルフェイスのモザイク」として知られているそうです。

画質がいまひとつで申し訳ありませんが、躍動する動物たちの像がお分かりになりましょうか。

 

 

 

 

 

イシュタル門

説明: berlin11バビロンのネブガドネザルの時代(BC6〜5世紀)には、このイシュタル門は市壁の北の門だったそうです。

青い釉薬のかかった石で組み上げられ、宮殿に最も近い門であるため豪華な装飾がつけられたとのことです。

そしてこの門のタイル張りの壁には、復元されたネブガドネザル王の碑文のほか、至るところに牛、ライオン、竜などの見事な浮き彫りが嵌め込まれています。

 

牛やライオンは大変リアルに描かれていて、プロポーションも実に正確なのには驚きました。

竜はもちろん架空の動物ですが、下右写真に見るように、日本や中国の竜とは大幅にイメージが異なり、首が美しくすっと伸びた四足の動物として描かれていたのが印象に残りました。

 

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ベルリンを最後に、本ツアーすべての観光を終了しました。

続いてエピローグをご覧ください。

 

 

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