3日目(1)

(4/7)

 

レイテ島 → セブ島・マクタン島

 

夜中の3時ごろ花粉症が出て目が覚めた。おかしい、ここは日本ではないのに何故だ?

以後、くしゃみ、鼻水、鼻づまりに苦しめみがらも、いくらかウトウトし、5時50分起床する。

朝食は7時からとのことだったが、6時50分に行ってみると、もう既に4人来ていて食べていた。

この種のホテルには珍しく、ビュッフェではなく、セットメニューである。面倒くさがり屋の私にとっては好都合であるが、内容は、ハムエッグ、お粥、パン、パイナップル、コーヒーという簡単なもの。それでも疲れた胃にお粥は有り難かった。

 

7時55分、すぐそばの港からセブ島行きの船に乗るとあって、歩いて出発。

ものの3分ほどで乗船場に着き、群がるポーターをかわしつつ、ホテルのボーイさんが車で運んでくれたバッグを素早く受け取り、ターミナルに入る。

まずは手荷物検査があり、驚いたことに、手荷物はすべて床に置かされ、犬の嗅覚による検査まであったこと。聞けば、これは火薬の匂いを嗅ぎ分けているとのこと。テロ対策の一環であろうが、それにしてもお国柄の一端を見る思いであった。

 

8時20分乗船。船は全長約40m、乗客約300人を運べる高速船で、その速度も約34ノット(63km)とのこと。キャビンも全席飛行機タイプの座席で、エアコンはもちろん、ミニバーやテレビの配備もあり、思ったよりもハイレベルなものであった。

予定の時間ぴったりの8時30分に出航となる。乗船率は80%ぐらいか。内海なので揺れも大したことなく、乗り心地は悪くはなかったが、エアコンがきつく、長袖の上着を着こんだほどであった。

左斜め前方にいた、赤ちゃん連れの若い現地女性が半袖のまま、この冷気を一向に苦にしていないのが不思議に思えたが、やはり慣れているからなのだろうか。

 

10時40分、予定より10分遅れてセブ島(セブ港)に着港。一番乗りならぬ一番降りで下船し、どんどん進んで、出口を出たが、そこはもうホテルやタクシーの客引きで溢れており、何回声をかけられたことか。

それにしても他の人は一向に現れないので、不安になって戻りかけると、ちょうど探しにきたガイドのSさんと目が合う。なんと皆はずっと後方に集まっていた。

 

迎えの車がまだ来ていないとのことで、10分ほど待った後、マクタン島の観光に出発する。

セブ島は全島サンゴでできた島のせいか、レイテ島に比し、ずっと湿気が少なく、全く別の国に来た感じがする。戦時中は日本軍も地面が固くて塹壕が掘れず、そのため、陣地は自然の洞窟に頼らざるを得なかったとか。

セブ市内はかなり渋滞していたが、市内を抜けてからは快適に走り出す。

マクタン島は、セブ本島と新旧2本の大橋でつながれた小島ながら、東京からの直行便が就航するマクタン・セブ国際空港を有するフィリッピン随一の一大リゾートエリアだそうである。

 

新しいほうの大橋を渡って島内に入り、まずは最初の観光スポット、島の北東に突き出した半島の途中にあるマクタン・シュラインへ。

ここにはマゼラン記念碑とラプラプ像があるが、その由縁は次の通りである。

1521年、マゼランはセブに上陸して以来、キリスト教の布教を行い、成果を挙げてきた。しかし、マクタン島の酋長ラプラプだけは、この侵略に戦いを挑んだ。結局、マゼランはラプラプによって殺されてしまう。ラプラプは他国の侵略を阻止した英雄としてその名を残した。これを記念して、マゼラン記念碑とラプラプの像が建てられている由。

内部には当時の戦いの模様を描いた絵も飾られている。

マゼランは世界史上初の世界一周の途中、フィリッピンで現地人により殺されたということは知っていたが、ここに来て初めてその由来を知り、感慨深いものがあった。

 

マクタン・シュラインの見学を終え、15分ほど真ん前に並ぶ粗末な構えの貝細工の店を覗いた後、昼食へ。

昼食場所は5分ほど更に北東に進んだところにある日本料理店「海舟」であった。

建物こそこの辺りにしては洒落た感じであったが、料理が出てくるまでは、こんなところでは大した料理ではあるまいと思っていたところ、いざ食べてみると、どうしてどうして、日本の一流どころと決して引けを取らない味だった。聞けば、素材はオーストラリアから直送の新鮮な魚介類や肉類を使い、本格日本料理の伝統と技術を受け継ぐシェフを筆頭に日本で修行を積んだ料理人が腕を振るっているとか。

ご覧の松花堂弁当のほか、茶碗蒸しに味噌汁、パインとスイカのデザートがつき、みな大満足であった。

 

次いで、15分ほど戻ったところにあるスーク村のギター工場に立ち寄る。

フィリッピン産のギターは世界中で知られているが、その殆どはマクタン島で造られているとか。

製作現場で工程の説明を受けた後、演奏のサービスもあり、売り場では、ギターも本物からミニチュア、キーホルダーなどが並べられていた。

私は楽器が苦手なので、本物のギターはもちろん買う気はなかったが、美人の売り子さんに勧められ、土産用にキーホルダーを15個ほど、楽しく値引き交渉の末、買い込んだ次第である。

 

( 続いて次ページをご覧ください。)

 

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